【報告】第2回COI-NEXTシンポジウム ~養殖産業の未来を多⾯的に考える~」を開催

【報告】第2回COI-NEXTシンポジウム ~養殖産業の未来を多⾯的に考える~」を開催

2023年11月16日

令和5年11月9日(木)、長崎大学は琉球大学と合同で「第2回 COI-NEXT シンポジウム(第 10 回⻑崎⼤学海洋未来イノベーション機構 OMST 東京セミナー)」を開催(Shimadzu Tokyo Innovation Plaza:神奈川県川崎市)しました。シンポジウムには91名を超す参加があり、活発な意見交換が実施されました。

※以後、

・長崎大学海洋未来イノベーション機構 : 長大海洋イノベ

・琉球大学研究推進機構共創拠点運営部門 : 琉大研推機構

と表記する

本シンポジウムは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)共創の場形成⽀援プログラム(COI-NEXT)の本格型に採択された本学の「ながさきBLUEエコノミー海の食料生産を持続させる養殖業産業化共創拠点プロジェクト」及び琉球大学「資源循環型共生社会実現に向けた農水一体型サステナブル陸上養殖のグローバル拠点プロジェクト」の成果を広く社会に発信し、⽔産業の再⽣/活性化による夢のある地域未来の構築に向けて、解決すべき課題の抽出とその解決に向けた取組みを促進するため開催しました。

シンポジウムでは、⻑崎⼤学プロジェクトリーダーの征矢野教授から開会の挨拶があり、以下の3つのテーマで講演を行いました。

テーマ1:未来の養殖のあり方…沖合養殖と陸上養殖の技術開発

テーマ2:安心安全な環境保全型養殖のあり方

テーマ3:地域との連携、養殖魚の出口戦略…生きた魚を売るためには

テーマ1では、長大海洋イノベの坂口教授を進行役に以下の講演を実施しました。① 沖合養殖に不可欠な技術 : 細川 貴志(長大海洋イノベ/日東製鋼)

② 陸上養殖の問題点と解決に向けた技術開発 : 平塚 悠治(琉大研推機構)

①では、衛星データを利用した「養殖適地」の探索及び浮沈式生簀の開発等について説明があり、講演した長大海洋イノベ 細川連携研究員は「養殖業を成長産業化させ、沖合や未利用海域での漁場拡大に繋げたい」と発表を締めました。

②では、日本の水産業の現状を説明した上で、陸上養殖のメリットと課題、そして課題解決のための技術開発について実例を元に説明し、平塚特命准教授は農水一体型のサステナブルな陸上養殖を実現するため、産学官の連携が重要であることを強調しました。

続いて、テーマ2では長大海洋イノベの村田助教を進行役に以下の講演を実施しました。

③ 養殖魚の安全性を担保するには(安全な養殖魚の生産とは)

: 征矢野 清・平坂 勝也(長大海洋イノベ)

④ 陸上養殖による養殖魚の付加価値 : 福永 耕大(琉大研推機構)

③では、征矢野教授から“安全な養殖魚の生産”とはどういったことなのかについて説明があり、当該分野において注目されている研究について紹介がありました。これを受け、平坂准教授から、給餌タイミングによる魚類肉質改善法及びエクソソーム様粒子を用いた最新の研究報告と現在進行中の取組等について説明がありました。

④では、福永特命助教から「水産物の高付加価値化」についての課題と解決策について説明があり、琉球大学のBlue&Green Revolutionの取組として、未利用資源を利用した飼料作成及びステークホルダーとの意見交換など事例紹介がありました。

テーマ3では、琉大研推機構の羽賀特命教授を進行役に以下の講演を実施しました。

⑤ 地域と密着した養殖魚の販売戦略、長崎と沖縄の取組事例紹介

              :室越 章(長大海洋イノベ)/羽賀 史浩(琉大研推機構)

⑥ 養殖魚のブランド化戦略 :國村 大喜(株式会社おさかなファーム)

⑤では、長崎における地域と密着した養殖魚の販売戦略について事例紹介(コンソーシアム形成、サブスク、横丁プロジェクト等)及び琉球大学が実施する取組(イオン琉球、ホテル、生協との連携、琉大ブランド商品開発、ECサイトでの販売)について報告がありました。

⑥では、養殖魚のブランド化戦略についての事例紹介等があり、株式会社おさかなファーム 國村取締役は「魚料理のおいしさとは何か、カラダで感じる美味しさだけでなく、生産者の想い、人と人のつながりがもたらすものも大きい」と強調しました。

シンポジウムの最後は、講演者全員によるパネルディスカッションを実施し、「環境保全と炭素循環から養殖を考える」、「養殖産業の目指すべき未来とは?」を話題に会場を巻き込んで討議を実施しました。

最後に、琉球大学プロジェクトリーダーの

竹村教授から閉会の挨拶があり、盛会のうち に幕を閉じました。

(シンポジウムの様子)